「因果境界線」
これは教科書。<因果>という言葉の辞書で御座います。 かって日明兄さんが率いた「RINGSという団体について知りたければ、ヴォルク・ハンの試合を見れば良い」と週プロ(たまには良いことを言うもんだ)が書いておりましたが、<因果>とは何かを知りたければ「因果境界線」を見ることをお勧めいたします。教科書。 ビデオ・クリップ数曲収録されて川西杏をかなりクローズ・アップしておりまして、当時の根本敬の御大がこの人に惚れ込んでいた事が反映されていますし、実際に川西杏の発散するパワーは十代のラッパー並。 幕開けは、大阪は西成の<いい顔>達が一同を介する盆踊り大会。まるでピンプ・オブ・ザ・イヤーの会場か?と錯覚するほどの豪華さ。 御大がこれまでエッセイにて書き連ねた因果な人達にキャメラを向けておるのはタイトル通りなのですが、その現実は見事なまでに文書から得たイメージを越えており、改めて「現実は小説より奇なり」という言葉の意味を噛み締めさせられました。 自殺した漫画家・山田花子をイタコしてもらうために恐山へと旅に出る根本御大。その御仁のその辺にあるのを適当に着て来た、と言わんばかりのファッション・センスも素晴しいです。飾らぬお人柄が滲み出すようです。ナンチッテ。 「ひさご」 本作の一番の見所は、我らがダディ近バ兄貴が出演していること尽きます。 友人とズリセン小唄を一節。スイートな喉を披露。その瞬間に会場はアポロ劇場か?と錯覚してしまいました。もしわたくしがスタックスまたはハイ・レコードのスカウトマンなら、その場で契約しているかもしれません。 と一応は持ち上げさせていただきます。 ガロ主宰の脱・歌謡祭。メインは兄貴も出る素人カラオケ大会なのでしょうが、ビデオでは気持ち良いくらいに編集されております。肝心の兄貴の喉を聞けるのも30秒程。 さてオープニングは期待通りに川西杏がバンドを率いて「♪チ×ポ、マ×コ教~♪」と熱唱。 何故か突然に転調してレゲエになるのか?それは杏の音楽的な感性。かって平岡正明は、新しいビートルズはアジア歌謡かレゲエの世界から生まれる、と宣言してましたが、もしかして川西杏のことなのか? 暴力温泉芸者のノイズ演奏と佐野史郎が艶歌を熱唱するという余興も悪くはありませぬが、因果というのなら身体障害者をゲストに呼んだパンク・バンドとなるでしょう。「見てはいけないものを見てしまった」という罪悪感もしかし、セックスの味を覚えた女尼の如くにジワ~と脳の中に溶け込んでくるでしょう。 ゲップが出る程の濃密な脱・歌謡祭を締めくくるのは、絶品な蛭子さんの「ヨイトマケの唄」と、杉作J太郎のディ~プな喉。P-VINEには、クレイジー・ケン・バンドの次にディ~プJ太郎を売り出して頂きたいもので御座います。 近バ兄貴に都合してもらいました。感謝いたします。
by catsuzumoto
| 2005-04-12 14:12
| アート
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